アップル、現金を生み出す力が強まり、費用の増えるAI事業を拡大する余地
アップルはiPhoneやパソコンなどの機器を販売し、クラウドストレージ、広告、App Storeなどのサービスからも収益を得る。9月26日に終了した2026年度は、iPhoneの販売増を受けて営業利益が1,581億ドルに達し、営業活動による現金収入も1,451億ドルに増えた。開発費が増え、部品やライセンス権にもより多くの資金を充てるなかで、アップルには、さらに高機能なAIサービスを開発し、提供する余地がある。
調査の締め切りは、ニューヨーク時間の2026年11月4日。以下の年間数値は、別の期間を明記したものを除き、2026年度を対象とする。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7、25~28ページ。連結財務諸表、32ページおよび36ページ。
1. 増収の中心はiPhone、中国での売上高も回復
アップルの年間売上高の増加分のうち、71%をiPhoneが占めた。全体の売上高は15.1%増え、前年の6.4%増を大きく上回った。アップルは、iPhoneの増収はProモデルの販売増、Macの増収はノートパソコンの販売増によるものだと説明した。ProモデルのiPhoneとノートパソコンの販売が伸びたことを示す。ただし、販売台数の増加、価格の変化、売れたモデルの構成の違いが、それぞれどれだけ寄与したかは報告書に示されていない。
3年間を比べると、どこで業績が改善したかが分かる。サービスは伸び続けた一方、2026年度のiPadとウェアラブル・ホーム・アクセサリーの売上高はほぼ横ばいだった。
| 売上高(十億米ドル) | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|
| iPhone | 201.183 | 209.586 | 254.098 |
| Mac | 29.984 | 33.708 | 37.929 |
| iPad | 26.694 | 28.023 | 27.929 |
| ウェアラブル・ホーム・アクセサリー | 37.005 | 35.686 | 35.577 |
| サービス | 96.169 | 109.158 | 123.301 |
| 合計 | 391.035 | 416.161 | 478.834 |
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7「製品・サービスの業績」、26ページ。注記2、39ページ。対象の3年間はいずれも52週間。iPhoneの寄与率71%は、iPhoneの増収額445億1,200万ドルをアップル全体の増収額626億7,300万ドルで割って算出した。
サービスの売上高も141億4,300万ドル増えた。主な要因は広告とクラウドサービスだった。アップルの広告事業には、自社の広告配信サービスに加え、他社のサービスを配信する対価として受け取る支払いも含まれる。そのため、アップルが直接販売する広告だけを指すわけではない。
地域別でも回復が見られた。中華圏の売上高は2025年度の減少から転じて28.0%増え、2024年度の670億ドルも上回った。アップルは、主にiPhoneとMacが改善をけん引し、人民元高も米ドル換算の比較にプラスに働いたと説明した。
| 地域別売上高(十億米ドル) | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 米州 | 178.353 | 198.083 |
| 欧州 | 111.032 | 127.604 |
| 中華圏 | 64.377 | 82.378 |
| 日本 | 28.703 | 30.908 |
| その他のアジア太平洋地域 | 33.696 | 39.861 |
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7「事業セグメントの業績」、25ページ。
すべての地域で売上高が増えた。米州と欧州では、iPhone、サービス、Macがいずれも寄与した。欧州には為替の動きもプラスに働いた。この報告上の地域には、インド、中東、アフリカも含まれる。中華圏には中国本土、香港、台湾が含まれる。
これらは、アップルが顧客や販売パートナーに売った分の売上高である。年間売上高の約60%は、通信事業者や再販売業者などを通じた間接販売によるものだった。製品の売上高の大半は、出荷時に計上される。この数値には顧客による直接購入も含まれるが、販売業者や再販売業者から最終消費者が購入した数量や金額を示すものではない。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目1「サービス」「事業セグメント」「市場と販売経路」、2ページ。項目7、25~26ページ。注記2、38ページ。
2. 粗利益の増加が研究開発費の増加を吸収、最終四半期は利益率が低下
研究開発費が大幅に増えたものの、アップルが年間売上高から営業利益として残した割合は高まった。営業利益率は、製品・サービスの原価と事業運営の費用を差し引いた後、利息や法人税を計算する前に、売上高のうち営業利益として残る割合を示す。32.0%から33.0%に上昇した。
改善の出発点は、製品やサービスを提供した後にアップルの手元に残る額が増えたことだった。製品の売上総利益率は36.8%から39.3%に上昇した。アップルは、売れた製品の構成の改善と関税の還付を理由に挙げた。メモリーなどのコスト上昇は、その効果を一部打ち消した。サービスの売上総利益率も75.4%から76.2%に上昇し、売れたサービスの構成が寄与した。
| 連結決算の報告値 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|
| 営業利益(十億米ドル) | 123.216 | 133.050 | 158.063 |
| 営業利益率 | 31.5% | 32.0% | 33.0% |
| 純利益(十億米ドル) | 93.736 | 112.010 | 132.175 |
| 売上高純利益率 | 24.0% | 26.9% | 27.6% |
| 希薄化後の一株利益(米ドル) | 6.08 | 7.46 | 8.98 |
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、連結損益計算書、32ページ。項目7「売上総利益率」、27ページ。各利益率は報告された金額から算出した。
サービスは売上高の25.8%を占め、売上総利益の40.2%を生み出した。会社全体の支出を支える重要な事業である。ただし、サービスの売上総利益率76.2%を、サービス単独の営業利益率とみなすことはできない。アップルはApp Storeでの他社アプリの売上高について、手元に残る手数料だけを計上する。一方、機器の売上高には通常、製品の販売価格全額が含まれる。また、アップルは研究開発費をサービスと製品に振り分けず、全社の費用として報告している。
アップルの研究開発費は345億5,000万ドルから457億6,500万ドルへ32.5%増えた。経営陣は、主な要因としてAIへの投資を含む基盤設備の費用と人件費を挙げた。売上総利益の増加額は、研究開発費と販売・一般管理費の増加額をともに上回った。営業利益がどう増えたかの詳しい計算は、計算注記に示す。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7、27ページ。注記2、38ページ。注記14、52ページ。サービスが売上高と売上総利益に占める割合は、連結合計額から算出した。
関税の還付は別に考える必要がある。アップルは受け取った還付金を製品原価の減額として計上する。報告上の利益は増えるが、次に作る製品の製造費用が下がったことを意味するわけではない。年次報告書には、その効果を切り分けるために必要な年間の還付額が示されていない。ここで示す年間利益には、いずれも還付の効果が含まれる。
9月の四半期を見ると、年間での改善が同じ勢いで続いていたわけではない。3カ月間の売上高の伸びは営業利益の伸びを上回り、営業利益率は低下した。研究開発費は88億6,600万ドルから117億3,000万ドルに増えた。
| 9月の四半期・連結 | 2025年度第4四半期 | 2026年度第4四半期 |
|---|---|---|
| 売上高(十億米ドル) | 102.466 | 114.477 |
| 営業利益(十億米ドル) | 32.427 | 35.631 |
| 営業利益率 | 31.6% | 31.1% |
アップルが報告した同四半期の売上総利益率は47.9%で、関税の還付による約1ポイントの押し上げを含む。その恩恵があっても営業利益率は低下した。年間利益は大きく改善したものの、開発費の増加は次の期間に向けた具体的な課題となっている。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7「関税およびその他の措置」、25ページ。アップルの第4四半期決算発表、2026年11月2日。第4四半期の財務諸表、1ページ。表は年間ではなく四半期の数値。営業利益率は算出値。
法人税が、年間の営業利益の増加分を一部吸収した。アップルの実効税率は15.6%から17.0%に上昇した。主な理由は、国外で得た利益に適用される税率、外貨に関する税務上の規則、前年に利益を押し上げた項目である。それでも純利益は18.0%増えた。長期の比較には、さらに背景がある。2024年度には欧州委員会によるアイルランドの国家補助金をめぐる案件で102億4,600万ドルの法人税費用が純額で計上され、2025年度には同じ決定に関連して4億8,600万ドルの税効果が計上された。これらが影響したのは法人税であり、営業利益ではない。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目7「法人税」、28ページ。注記8、44~45ページ。表中の利益はすべて、報告された米国会計基準に基づく数値である。
3. アップルのAI計画にかかる費用は設備購入だけではない
設備の購入額が減っても、アップルの技術拡大にかかる費用が減ったわけではない。土地・建物・設備の購入に使った現金は、127億1,500万ドルから90億4,100万ドルに減った。その一方で研究開発費は増え、ライセンスを受けた資産も拡大した。アップルは引き続き、自社と外部の双方の計算能力を必要としている。
経営陣が目指すのは、個人に関する情報を理解し、アプリをまたいで操作できるアシスタントによって、アップル製品をもっと便利にすることだ。2026年1月のグーグルとの合意は、その技術的な土台となる。両社によると、アップルの次世代AIを支えるソフトウエアには、Geminiのモデルとクラウド技術を使う。Apple Intelligenceは引き続き、アップル製品と、サーバー上でリクエストを処理するアップルの仕組み「Private Cloud Compute」で動く。外部のAIモデル技術を利用しながら、製品と利用体験はアップルが管理する形だ。合意の対価は公表されていない。
出典:アップル2026年度年次報告書(Form 10-K)、項目1、3~4ページ。連結キャッシュフロー計算書、36ページ。グーグルとアップルの共同声明、2026年1月12日。アップルによるSiri AIの発表、2026年6月8日、仕組みと提供時期に関する部分。
アップルは11月3日、Siri AIとの連携機能のプレビューをすべての開発者に公開し、さらに一歩進めた。このプレビューにより、開発者はアプリ内の情報や操作をSiriにつなげられる。アップルは、数カ月後に顧客への提供を始め、春にはApp Storeへの申請を受け付けるとしている。開発者が役立つ連携機能を作り、それが安定して動けば、顧客が一日を通してアップル製品を使う理由が増える可能性がある。
事業としての収益の仕組みは、まだ形を整えている段階にある。アップルは、サーバーを使う一部のAI機能について、将来は利用範囲を広げる際に料金を課すとしている。ただし、発表には料金や売上高の見通しは示されていない。また、EUではiPhone、iPad、Apple Watch向けのSiri AIをまだ利用できない。今回の予告は、将来のサービス事業が広がる可能性を示す一方、開始時期と提供地域には制限がある。すでに確立した新たな年間収入源を示すものではない。
出典:Apple Developer「Siri AI is now open to all developers」、2026年11月3日。公開予定時期と提供地域に関する注記。これらは会計年度末後の動きであり、計画または予告段階の機能であって、2026年度の決算実績ではない。
貸借対照表からは、投資に伴う負担が広がっていることが分かる。ライセンスなどの無形の権利を示す資産は、流動資産と固定資産を合わせて133億100万ドルから257億ドルへと、ほぼ倍増した。増加の大部分はライセンスを受けた権利によるもので、その帳簿価額は91億7,900万ドルから209億4,300万ドルに増えた。アップルは、これらのライセンスのうちAI、娯楽コンテンツ、その他の技術に関係する額を明らかにしていない。そのため、全額をSiriやグーグルに結び付けることはできない。
アップルがこれらの権利を使うにつれ、今後も利益に影響が及ぶ。年度末時点で保有していた無形資産について、アップルは2027年度に66億1,700万ドルの償却費を見込む。償却とは、資産の取得費用を少しずつ費用として計上することだ。この予定額は、将来の資産追加やその他の変化を考慮する前の段階で、2026年度に計上した49億ドルを約17億ドル上回る。
貸借対照表の202億7,800万ドルという無形資産の項目には、流動資産に分類された54億2,200万ドルが含まれない。全体の規模を見るには、両方を合わせる必要がある。一方、建物、設備、社内利用ソフトウェアの帳簿価額は498億3,400万ドルから520億8,400万ドルに増えた。アップルは複数の会計項目にわたって、事業に使う資源を増やしている。設備の購入額だけでは、同社のAI戦略にかかる費用は測れない。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、注記5~6、42~43ページ、連結貸借対照表、34ページ。2027年度の償却額は、すでに保有する資産について開示された予定額であり、アップルの費用総額や現金投資額の予測ではない。
4. 製品を販売する前に、より多くの資金が部品に使われている
在庫の増加分の94%を部品が占めた。アップルの年度末の在庫は145億4,100万ドルで、前年の57億1,800万ドルから増えた。完成品の増加は、製造に使う部品に比べてずっと小さかった。
| 事業関連の残高(十億米ドル) | 2025年9月27日 | 2026年9月26日 |
|---|---|---|
| 在庫の部品 | 2.124 | 10.447 |
| 在庫の完成品 | 3.594 | 4.094 |
| 顧客への売掛金 | 39.777 | 43.817 |
| 製造委託先への債権 | 33.180 | 39.896 |
| 仕入先への買掛金 | 69.860 | 82.252 |
出典:アップルの2026年度Form 10-K、連結貸借対照表、34ページ、注記4「売掛金」、42ページ、注記7「棚卸資産」、43ページ。94%は、部品の増加額83億2,300万ドルを在庫全体の増加額88億2,300万ドルと比較して算出した。
部品の残高が特に重要なのは、メモリー、ストレージ、先端半導体が入手しにくくなり、価格も上がっているとアップルが述べているためだ。同社は、メモリーとストレージを巡る圧力がさらに強まると見込む。在庫の開示からは、数量の増加と価格の上昇を分けて見ることはできず、意図的な買いだめをしたかどうかも分からない。確認できるのは、生産と販売をまだ経ていない部品に、より多くの資金が使われていることだ。
サムスン電子が10月29に発表した決算も、外部からの参考材料となる。同社のモバイル事業では、新しい主力モデルによって売上高が増えた一方、メモリー価格の上昇が引き続き負担となった。サムスン電子はまた、2027年にはメモリーの需要が供給を上回ると見込み、先端メモリー製品を重視する方針を示した。これは供給側の見通しであり、アップルの購入価格を予測するものではないが、アップル自身が説明する圧力を裏付ける。サムスン電子の高価格帯スマートフォンの伸びは、アップルの競合他社も同じ高価格帯の顧客を獲得しようとしていることを示す。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、項目7「マクロ経済の状況」、24ページ、注記13、51ページ、サムスン電子の第3四半期決算、2026年10月29日、モバイルエクスペリエンス事業に関する説明と2027年のメモリー市場の見通し。サムスン電子の情報は事業環境の参考とし、会計上の利益率をアップルと比較していない。
製造委託先から受け取る予定の代金も、生産過程の一部だ。アップルは部品を購入し、自社製品を組み立てる企業に販売する。そこで生じる債権は、製造委託先がアップルに支払う代金であり、こうした部品の受け渡しは通常の製品売上高には計上されない。2社の製造委託先がその残高の45%と27%を占め、代金の回収は少数の製造委託先との取引に左右される。
顧客からの代金回収も重要だ。売掛金は40億4,000万ドル増え、年度末残高の13%を1社の顧客が占めた。通信事業者が占める割合は33%だった。アップルは一部の顧客から担保などの支払い保証を得ているが、これらの増加を説明する回収上の問題は開示していない。
仕入先への支払いは、その負担を一部相殺した。買掛金が123億9,200万ドル増えたためだ。発生した費用の全額をまだ支払っておらず、その分、一時的に手元の現金は増える。ただし、後で支払う義務がなくなるわけではない。
アップルは製造に必要なものを897億ドル購入することも約束しており、このうち827億ドルは12カ月以内に支払期限を迎える。こうした購入約束は将来の生産を手配する助けになる。一方で現金が必要になり、製品の需要が期待を下回ったり、部品価格がさらに上がったりした場合には負担となる。これは事業に必要な購入の約束であり、銀行借入や社債による負債とは異なる。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、注記4、42ページ、項目7「製造に関する購入義務」、28ページ、連結貸借対照表、34ページ。
5. 事業で得た現金で株主への支払いを賄い、借入金を減らす余力も残った
事業で得た現金で設備購入、配当、自社株買いを賄っても、339億ドルが残った。前年は同じ計算で74億ドルの不足だった。これは、2026年度にアップルが資金を使う余地を広げたことを示す最も明確な証拠だ。
| 現金の獲得と使い道(十億米ドル) | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 事業で得た現金 | 111.482 | 145.097 |
| 土地・建物・設備の購入支出 | 12.715 | 9.041 |
| フリーキャッシュフロー(下記の定義) | 98.767 | 136.056 |
| 配当・配当相当額の支払い | 15.421 | 15.721 |
| 自社株買いの支払い | 90.711 | 86.390 |
| これらの支払い後の残額 | -7.365 | 33.945 |
計算上の注記:ここでのフリーキャッシュフローは、事業で得た現金から土地・建物・設備を取得するための現金支出を差し引いた額を指す。これは計算によって求めた米国会計基準に基づかない指標だ。すべての種類の投資を個別に差し引くものではなく、事業で得た現金にすでに反映された支払いは、その中に含まれたままだ。表の最終行は、この定義によるフリーキャッシュフローから、実際に支払った配当と自社株買いの代金を差し引いている。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、連結キャッシュフロー計算書、36ページ。現金の支払額は、承認額、宣言額、株主資本に計上した額とは異なる。
現金の増加に最も大きく寄与したのは利益の伸びだが、支払いの時期も助けになった。アップルがまだ支払っていない代金を考慮した後でも、顧客や製造委託先からまだ受け取っていない代金、在庫、その他の事業用資産に使われた現金は149億ドル増えた。ただし、その増加額は2025年度の250億ドルより小さい。仕入先への未払い代金やその他の負債が増え、これらの資産に使われた現金の一部を相殺した。
税金を見ると、現金の動きと利益の動きが異なり得る理由が分かる。法人税の現金支払額は約434億ドルから345億8,800万ドルに減ったが、損益計算書に計上した法人税費用は増えた。支払いの対象が、別の期間に計上した税金であることもある。支払額の減少は当年度のキャッシュフローを押し上げた。末尾の計算上の注記では、この時期のずれを現金の増減を説明する計算全体に含めている。
アップルは事業によるキャッシュフローを計算する際、株式報酬費用137億8,900万ドルも足し戻した。この費用と同額の事業上の現金支払いは必要なかったが、従業員には発行済み株式数を増やし得る株式報酬が渡った。新株が発行されれば利益をより多くの株主で分けることになるため、株主にとっても費用がある。自社株買いはその影響を相殺できるが、現金を使う。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、連結キャッシュフロー計算書、36ページ、注記8「法人税の現金支払額」、47ページ、注記12、50ページ。利益から現金の動きへの計算は末尾の注記に再掲した。
アップルは資金を使える余力を生かし、長期借入金を123億9,600万ドル、コマーシャルペーパーを差し引き59億1,100万ドル返済した。新たな長期借入は行っていない。また、満期を迎えたり売却したりした投資有価証券より多くを購入した。事業、投資、資金調達による現金の動きをすべて反映すると、現金の増加は3億7,100万ドルにとどまった。手元の現金の増加が小さいのは、現金を十分に生み出せなかったためではなく、こうした使い道があったためだ。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、連結キャッシュフロー計算書、36ページ。
6. 財務上の余力は増したが、今後の支払いは借入金以外にもある
アップルは現金と換金可能な投資を増やしながら、借入による負債を減らした。ここでいう負債は、社債と、アップルが短期の資金を借りるために発行する証券であるコマーシャルペーパーを指す。比較には貸借対照表に計上された金額を使う。
| 資金と借入(十億米ドル) | 2025年9月27日 | 2026年9月26日 |
|---|---|---|
| 現金とすべての換金可能な有価証券 | 132.420 | 136.935 |
| コマーシャルペーパーと長期借入金 | 98.657 | 80.111 |
| 金融資産から借入による負債を差し引いた額 | 33.763 | 56.824 |
| 現金と短期の換金可能な有価証券 | 54.697 | 56.722 |
計算上の注記:表の上から1行目は、リースと事業上の支払義務を含めずに計算した余力を示す。アップルは、それらの支払いにも資金が必要だ。最終行は最初の行に含まれる資産の一部であり、追加の資産ではない。
現金と短期の有価証券に対し、2027年度には約100億ドルの社債元本が償還期限を迎え、20億ドルのコマーシャルペーパーは12カ月以内に支払期限を迎える。さらに、2028年には93億ドルの社債元本が償還期限を迎える。アップルには、近づく期限に合わせて返済し、すぐに新たな借入で借り換えることを避けられる余地がある。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、連結貸借対照表、34ページ、注記4、40~41ページ、注記10、48~49ページ。長期の換金可能な有価証券は満期までの期間で分類される投資であり、銀行預金ではない。社債などの元本と帳簿価額は、発行費用、割引発行、金利変動への対応に伴う調整によって異なる。
利息とリースにも継続的な費用がかかる。社債などについて今後契約上支払う利息は計344億ドルで、このうち24億ドルは12カ月以内に支払期限を迎える。社債には特定の資産を担保として設定していない。社債自体の金利は固定されているが、金融機関との契約により、借入の一部にかかる実質的な利息費用は市場金利に応じて動く。コマーシャルペーパーの年度末時点の加重平均金利は3.80%だった。
固定額のリース支払義務は、まだ始まっていないリースを含めて計約178億ドルで、このうち28億ドルは12カ月以内に支払う必要がある。こうした固定額の支払いだけでは、リース費用の全体は分からない。利用量などで変わるリース費用は2026年度に177億ドルとなり、161億ドルから増えた。アップルは、その費用のすべてがAIの基盤設備に関係するとは明らかにしていない。それでも、同社が使う資源に費用を払う方法は、設備の購入だけではないことが分かる。
出典:アップルの2026年度Form 10-K、項目7「負債」「リース」、28ページ、注記9~10、47~49ページ。リース契約に基づく今後の現金支払額、現在価値に割り引いて貸借対照表に計上した負債、年間のリース費用は、それぞれ測るものが異なる。
アップルは借入以外にも、支払義務が増えた。1年を超えて支払期限を迎えるその他の負債は、415億ドルから543億ドルに増えた。提出書類は、この増加の理由を十分には説明していない。その他の短期負債に含まれる未払法人税は130億ドルから53億ドルに減ったが、その他の未払い分の増加がその減少をおおむね相殺した。借入による負債が減ったにもかかわらず、負債総額は69億ドル増えた。
Appleでは、在庫や設備以外の資産も増えた。その他の流動資産は43億ドル増えた。主な理由は、短期に使うライセンス権が増えたことだ。その他の固定資産は、その区分に計上された将来の税負担を減らす権利がやや減ったものの、55億ドル増えた。債務も全体として増えており、資金調達による借入金が減っても、事業のほかの部分で必要な資金や資産まで減ったわけではない。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、連結貸借対照表、34ページ、注記6~7、43~44ページ。短期に使うライセンス権はその他の流動資産に含まれる。長期の無形資産は別に表示されている。
Appleによる株主への資金還元は大規模で、実施額には柔軟性がある。同社は4月に新たに1,000億ドルの自社株買いを承認し、四半期配当を$0.27に引き上げた。この承認によって、Appleに最低限の株式を買う義務が生じるわけではない。投資や供給にかかる費用が、現金を生み出すペースより速く増えた場合、この裁量が役立つ。
自社株買いで発行済み株式は約296.7百万株減り、株式の発行と減少を差し引いた純発行分で55.7百万株増えた。差し引きでは241.0百万株の減少となった。希薄化後の加重平均株式数は1.9%減ったため、一株当たり利益は20.4%増え、純利益の増加率18.0%を上回った。自社株買いは残る各株式に帰属する利益を増やした一方、会社のほかの資金需要にも使えた現金を消費した。
株主資本(資産から負債を差し引いて残る会計上の金額)は、737億ドルから1,121億ドルに増えた。利益に加え、株式の発行や株式報酬に伴う増加分が、自社株買い、配当、従業員に代わって納める税金、利益以外に計上した評価損を上回った。後の計算注記では、これらの増減を照合し、発行済み株式と従業員向けの株式報酬を区別する。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、項目7「株主への資金還元」、28ページ、連結株主資本変動計算書、35ページ、注記3、11、12、39ページおよび49~50ページ。
7. App Storeと検索をめぐる規則の変更が、重要な利益源に影響する可能性
規制による主な事業リスクは、Appleがサービス収入を得る仕組みの変化だ。罰金も重要だが、手数料、支払い方法の選択、検索サービスの提供に関する契約への制限は、Appleが継続して得る収入を変えうる。
欧州委員会が4月2025に科した€500百万の罰金は、開発者が顧客を別の購入条件へ案内することをAppleが制限した件に関するものだ。Appleは不服を申し立て、法令に従うための取り決めも引き続き変更している。アプリを別の方法で配布する際の契約条件については、別の調査が続いており、提出書類の時点で結論は出ていない。この法律では違反に対して多額の制裁金を科すことができる。Appleが説明する状況では、年間の全世界売上高の最大10%に達する可能性がある。ただし、この上限は、実際に生じそうな損失の見積もりではない。
米国のEpic Games訴訟も、顧客がAppleの決済システムの外で支払うことに関係する。Appleによると、現在も裁判所の命令により、他社製のiPhoneやiPadのアプリにある外部リンクを通じて完了した購入には手数料を課せない。12月2025、控訴裁判所は一定の手数料を認める余地があると述べ、条件の検討を下級審に差し戻した。現在、最高裁判所は、裁判所の命令に従わないことに当たる「民事侮辱」の判断基準を審理している。結果によって、Appleが徴収できる手数料が変わる可能性がある。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、項目1A、16ページ、項目3、20~21ページ。欧州委員会の決定に関する発表、2025年4月23日。ここで示した訴訟の状況は、Appleが11月3に提出した書類に基づく。
検索に関する支払いも、広告収入をめぐるリスクの一つだ。9月2025に示されたGoogleへの是正措置は、検索サービスの独占的な提供契約を制限した。Appleの提出書類によると、Googleと米司法省の双方が控訴している。さらに是正措置が加われば、検索サービスの提供を許可することで収入を得る力が損なわれる可能性もある。Appleは、こうした支払いによる当年度の利益を個別に公表していない。そのため、この報告では、ありうる司法判断に伴う利益の減少額を正確な数字で示していない。
GoogleとAppleのAI協業は、検索サービスの提供に対する支払いとは別の取り決めだ。Googleのモデル技術を利用できることは、検索収入をめぐる法的リスクを埋め合わせたり、解消したりするものではない。また、米司法省はAppleを相手取り、スマートフォンをめぐる反競争的とされる行為の変更を求めている。関連する民事訴訟では、損害賠償なども求められている。これらの案件は、Appleが端末、アプリ、サービスを連携させる方法に影響し、法的費用も生じさせる可能性がある。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、項目1Aの競争法に関する記述、16~17ページ、項目3、21ページ。米司法省によるGoogleへの是正措置の発表、2025年9月2日。GoogleとAppleの共同声明、2026年1月12日。
Appleの偶発債務に関する注記によると、経営陣は、提起されている訴訟などについて、合理的に起こりうる重大な損失も、すでに計上した引当額を超える重大な損失も特定していない。この判断によって、将来の規則変更が事業の仕組みを変えるリスクがなくなるわけではない。提出書類は、第4四半期の和解についても、個別でも合計でも重要な金額ではなかったとしている。
税務上の争いは、別の財務リスクとして残る。Appleが申請した税制上の優遇には、認められるかどうか不確かなものがあり、会計上、すべてを確定した節税額として扱ってはいない。その総額は232億4,200万ドルから224億8,700万ドルに減った。期末の金額のうち106億ドルが認められれば、報告する税率は下がる。この金額は、新たな現金罰金の予測ではない。同社は米国や主要な海外の地域で引き続き税務調査を受けており、監査人は、これに関する判断を特に重要な監査事項とした。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、項目3、21ページ、注記8、46ページ、注記13、51ページ、独立監査人の報告書、54~55ページ。
8. Appleには事業拡大の資金がある。次の課題は増える費用に見合う利益を得ること
Appleは、投資資金をまかない、事業運営上の負担を吸収する力を高めて次の会計年度を迎えた。端末事業の好調とサービス事業からの大きな利益貢献で、利益は増えた。現金を生み出す力は、株主への支払いと借入金の削減も支えた。財務諸表からは、直ちに借り入れを増やさなくてもAIの展開を進められるだけの資金力がうかがえる。
より難しい事業上の問いは、その展開によって追加の利益をどれだけ生み出せるかだ。使いやすいアプリ連携や有料での利用は、顧客がApple製品をさらに使うきっかけになりうる。利益への貢献は、利用の広がり、サービスを利用できる範囲、利用者からの各リクエストに対応する費用によって変わる。一方、部品価格の上昇と、予定に沿って費用に計上されるライセンス料は、売上増加による利益の一部を減らす。
年間の好調な業績に対し、9月の四半期に営業利益率(売上高のうち営業利益として残る割合)が下がったことは、最も明確な懸念材料だ。端末の需要が続き、サービス収入が増えれば、Appleは拡大した費用を吸収しやすくなる。コンピューター処理や部品の費用が増える一方で、そうした収入の増加に時間がかかれば、財務上の余力は引き続き役立つものの、売上が増えた分から利益やほかの用途に使える現金として残る割合は小さくなる。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、項目7、24~28ページ、注記6、10、13、43ページ、48~49ページ、51ページ。第4四半期の財務諸表、1ページ。Appleの開発者向け発表、2026年11月3日。この結論で述べた事業への影響は、条件付きの評価である。
報告の基準と計算注記
報告の基準:Apple Inc.、CIK 0000320193。Form 10-K。提出番号は0000320193-26-000026、提出日は2026年11月3日。2026年度は2025年9月28日から2026年9月26日まで。2025年度と2024年度は、それぞれ2025年9月27日と2024年9月28日に終了した。いずれも52週間だった。財務諸表は、米国の一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)に従い、Appleと完全子会社を合わせて作成されている。前年度の金額は2026年度の表示に基づき、比較できるよう一部の項目が組み替えられている。在庫には先入先出法を使う。これは、先に仕入れた商品の原価から先に売上原価に充てる方法だ。
出典:米証券取引委員会(SEC)の提出記録。Appleの2026年度Form 10-K、表紙と注記1、37ページ。SECの企業財務データ。XBRLと呼ばれるSECのコンピューターで読み取れる財務データとの照合には、対象の提出番号、連結ベースの数値、実際の年度の開始日と終了日、米ドル単位を使った。株式の数値は株数、一株当たり利益の数値は一株当たりの米ドル額を使った。提出書類の財務諸表では金額を百万ドル単位、株数を千株単位で示す。上の表では金額を十億ドル単位に換算している。
報告の基準:調査の締め切りは、ニューヨーク時間の2026年11月4日。使用したAppleの最新資料は、11月3の提出書類と開発者向け発表で、決算は11月2に発表された。供給業者や規制当局の資料の日付は、関連する説明の近くに示した。これは特定した資料に基づく検討であり、締め切りまでのすべての発表を調べたという意味ではない。
計算注記:増加率は、当期の金額を比較対象となる前期の金額で割り、1を引いて求める。利益率は、対象となる利益を売上高で割って求める。利益率の変化はパーセントポイントで示す。以下の表は、別に記す場合を除き十億米ドル単位。本文の金額を丸めているため、差額が見えにくい場合がある。
A. 営業利益の増加額の内訳
| 年間営業利益の増減(十億米ドル) | 金額 |
|---|---|
| 2025年度の営業利益 | 133.050 |
| 売上総利益の増加 | +38.401 |
| 研究・販売・一般管理費の増加 | -13.388 |
| 2026年度の営業利益 | 158.063 |
計算注記:売上総利益は、製品で267億7,200万ドル、サービスで116億2,900万ドル増えた。研究費は112億1,500万ドル、販売費と一般管理費は21億7,300万ドル増えた。これらの内訳を合わせると、上の2つの増減額になる。この増減表には、報告された営業利益に含まれる関税の還付金やその他すべての項目を含めている。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、27ページと32ページ。
B. 営業活動による現金が純利益と異なる理由
| 年間の利益と現金の照合(十億米ドル) | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 純利益 | 112.010 | 132.175 |
| 減価償却費・償却費 | +11.698 | +13.423 |
| 株式報酬費用 | +12.863 | +13.789 |
| その他の調整 | -0.089 | +0.568 |
| 営業資産・負債の増減 | -25.000 | -14.858 |
| 営業活動による現金収支 | 111.482 | 145.097 |
計算注記:2026年度は、顧客から受け取る予定の代金が増えたことで39億9,400万ドル、製造委託先から受け取る予定の代金が増えたことで67億1,600万ドルの現金を使った。在庫の増加には89億500万ドル、その他の営業資産の増加には211億1,700万ドルを使った。一方、買掛金の増減によって121億7,100万ドル、その他の営業負債の増減によって137億300万ドルの現金が増えた。この6つの増減を合わせると、148億5,800万ドルの現金を使ったことになる。現金を伴わない取引なども貸借対照表の残高に影響するため、現金収支の増減は、残高同士を単純に引いた額と一致するとは限らない。
計算注記:営業活動による現金収支の増加額336億1,500万ドルは、純利益の増加201億6,500万ドル、照合のための調整額の増加33億800万ドル、営業資産と負債の増減によって使う現金の減少101億4,200万ドルからなる。現金で支払った税金の減少は、この照合にすでに反映されている。
計算注記:2026年度は、期首の現金359億3,400万ドル+営業活動による現金の流入1,450億9,700万ドル-投資活動による現金の流出172億8,000万ドル-財務活動による現金の流出1,274億4,600万ドル=期末の現金363億500万ドルとなる。投資活動による流出は、証券の購入額から売却額を差し引いた58億5,000万ドル、有形固定資産の購入に使った90億4,100万ドル、その他の投資活動に使った23億8,900万ドルからなる。キャッシュフロー計算書の現金と使途が制限された現金の合計は、期首・期末とも貸借対照表の現金残高と一致する。使途が制限された現金を別途加える必要はない。
出典:Appleの2026年度Form 10-K、連結キャッシュフロー計算書、36ページ。
C. 貸借対照表と株主資本の確認
| 資産と負債・株主資本(十億米ドル) | 2025年9月27日 | 2026年9月26日 |
|---|---|---|
| 資産合計 | 359.241 | 404.548 |
| 負債合計 | 285.508 | 292.455 |
| 株主資本 | 73.733 | 112.093 |
| 負債と株主資本の合計 | 359.241 | 404.548 |
計算注記:資産の増加額453億700万ドルは、負債の増加額69億4,700万ドルと株主資本の増加額383億6,000万ドルの合計に等しい。その他の流動資産には短期に使うライセンス権が含まれるため、その金額を資産合計に再び加えてはいけない。
| 2026会計年度の株主資本の増減、単位:十億米ドル | 金額 |
|---|---|
| 期首の株主資本 | 73.733 |
| 純利益 | +132.175 |
| 普通株式の発行 | +1.603 |
| 株主資本に計上した株式報酬 | +14.562 |
| 従業員の税金用に留保した株式(両資本勘定) | -6.940 |
| 宣言した配当と同等の支払い | -15.704 |
| 株主資本に計上した自社株買い | -86.485 |
| その他の包括損失 | -0.851 |
| 期末の株主資本 | 112.093 |
計算上の注記:普通株式と払込資本には、株式の発行と株式報酬による増加を記録する。その内訳は、935億6,800万ドル+発行した株式16億300万ドル-留保した株式49億1,800万ドル+株式報酬145億6,200万ドル=1,048億1,500万ドルとなる。
計算上の注記:利益剰余金には、利益の累計から配当などの分配や、ここに割り当てられたその他の変動を反映する。その内訳は、期首の欠損額−142億6,400万ドル+利益1,321億7,500万ドル-宣言した配当157億400万ドル-従業員の税金用に留保した株式20億2,200万ドル-自社株買い864億8,500万ドル=137億ドルとなる。
計算上の注記:投資、為替、ヘッジによる損益の一部は、当期の利益に含めず株主資本に記録する。これらの損失の累計額は55億7,100万ドルから64億2,200万ドルに増えた。増加した損失8億5,100万ドルの内訳は、市場性のある債券による損失14億700万ドルで、デリバティブによる5億4,400万ドルと外貨換算による1,200万ドルが一部を相殺した。いずれも税引き後の額で、当期の純利益とは別に株主資本に影響した。
計算上の注記:アップルは、これらの貸借対照表に自己株式の残高を独立して表示していない。株主資本の変動計算書にある自社株買い、配当、報酬の記録額は、現金支払額と同じではない。注記11には、約297百万株の買い戻しに858億ドルを支出したとあり、キャッシュフロー計算書には自社株買いの支払額として863億9,000万ドルが記載されている。この報告書では、各資料が示す対象範囲を保ち、これらの金額を同じものとして扱わない。
計算上の注記:発行済み株式数は、百万株単位で14,773.260-買い戻した296.699+新たに発行した株式の純増55.698=14,532.259となる。2026会計年度の純利益1,321億7,500万ドルを前年度の希薄化後平均株式数15,004.697百万株で割ると、一株当たり約$8.81となる。実際の希薄化後平均株式数14,720.306百万株を使うと、約$8.98となる。約$0.17の差は、同じ利益をより少ない株式数で割った効果を示す。これは計算結果であり、予測ではない。自社株買いも従業員向けの株式発行も、株式数に影響する。
出典:アップルの2026会計年度Form 10-K、連結財務諸表、33~36ページ。注記3、11、12、39ページおよび49~50ページ。
D. 借入金などの支払いが必要になる時期
| 社債元本の返済期限、単位:十億米ドル | 金額 |
|---|---|
| 2027会計年度 | 9.991 |
| 2028会計年度 | 9.300 |
| 2029会計年度 | 5.175 |
| 2030会計年度 | 4.956 |
| 2031会計年度 | 3.750 |
| それ以降 | 45.506 |
| 社債元本の合計 | 78.678 |
計算上の注記:社債元本786億7,800万ドルから、割引額と発行費用の純額2億7,700万ドル、ヘッジ会計による調整額2億8,700万ドルを引くと、貸借対照表に計上した長期借入債務の額781億1,400万ドルとなる。これにコマーシャルペーパー19億9,700万ドルを加えると、上で使った資金調達による債務の合計801億1,100万ドルとなる。契約に基づく利息は元本とは別に支払う。注記10には、アップルが借入契約上の制限にどれほど近いかを数値で示す判定はない。資金面の評価には、開示された現金、債務、支払予定を用いる。
計算上の注記:すでに始まっているリースについて、将来の支払額を現在価値に割り引く前の合計は171億2,900万ドルとなる。そこから、分割して支払うことによる資金調達費用27億6,100万ドルを除くと、計上済みのリース負債143億6,800万ドルとなる。割引前の支払予定額に、まだ始まっていないリースの契約額6億4,400万ドルを加えると177億7,300万ドルとなり、端数を丸めると経営陣が示した固定的な支払義務の合計178億ドルとなる。
計算上の注記:その他の購入義務は273億ドルで、うち12か月以内に支払う額は99億ドルだった。これは開示済みの製造委託に関する契約額とは別の額だ。注記13の248億4,400万ドルという支払予定額は、残存期間が1年を超える、取り消しを前提としない購入義務を対象とする。対象範囲が異なるため、より広い範囲の購入義務の合計に追加する額ではない。また、こうした事業上の購入額を、過去のキャッシュフローから重ねて差し引くこともしない。
出典:アップルの2026会計年度Form 10-K、項目7、28ページ。注記9、10、13、48~49ページおよび51ページ。
この報告書は、情報と事業分析を提供するものである。投資助言でも、証券の売買を勧めるものでもない。