ストライカー、売上高は増加も血管領域の拡大に誤算
ストライカーは、病院や外科手術センターに人工関節、手術機器、医師の手術を支える技術を販売している。2026年第3四半期の売上高は7.7%増えた。一方、末梢血管事業の見通しが弱まり、2億9,300万ドルの評価損を計上した。他の事業の成長と現金を生み出す力の改善により、投資を続ける余地はある。今後の課題は、買収で得た技術を安定して顧客に届け、利益を伴う成長につなげることだ。
分析対象期間:2026年7月~9月。明記した箇所では1月~9月も比較した。調査の締め切り:ニューヨーク時間2026年10月31日。使用したストライカーの最新の開示資料は、10月30日提出の書類である。
出典:ストライカーの2026年第3四半期のフォーム10-Q、損益計算書、注記11、経営陣による説明、2、11~12、20ページ。
1. 手術機器が成長を支え、人工膝関節と人工股関節はほぼ横ばい
ストライカーは製品の幅広さに支えられ、人工膝関節と人工股関節の売上高が合わせてほぼ横ばいでも、全体の売上高を伸ばした。内視鏡、メディカル、整形外科技術の各事業で、四半期の売上増加額の約70%を占めた。これらの事業は、手術用カメラ、患者の移動を助ける機器、手術器具、ロボットなどを販売している。
次の表は、主な事業の売上高の増え方を示す。
| 主な事業の売上高(百万米ドル) | 2025年第3四半期 | 2026年第3四半期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 内視鏡 | 896 | 1,021 | +125 |
| メディカル | 985 | 1,081 | +96 |
| 整形外科技術 | 651 | 754 | +103 |
| 膝・股関節の合計 | 1,085 | 1,088 | +3 |
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記2、6~7ページ。膝関節と股関節の合計売上高と増加額は、開示された事業別の金額から計算した。
売上高は60億5,700万ドルから65億2,000万ドルに増えた。増加の大半は販売数量の増加によるものだ。経営陣によると、売上高の伸びのうち、販売数量が7.6パーセントポイント、価格が0.1パーセントポイントを占めた。為替変動と買収・売却を合わせた影響は、四半期全体ではほぼなかった。つまり、顧客に販売した製品の数が増えたことが、成長のほぼすべてを支えた。
売上増加額4億6,300万ドルのうち、米国が3億7,900万ドルを占めた。海外の売上高も14億8,600万ドルから15億7,000万ドルに増えた。両地域で成長したが、増加額の大半は規模の大きい米国事業によるものだ。
整形外科技術事業の数字には注意が必要だ。四半期売上高7億5,400万ドルには、整形外科用器具の5億3,500万ドルと、Makoを含む旧「その他整形外科」製品群の2億1,900万ドルが含まれる。会社は顧客が製品を利用しやすくし、製品開発を速めるため、2026年にこれらの事業をまとめた。この事業の伸びは幅広い機器を含む。一方、人工膝関節と人工股関節の売上高はほぼ横ばいで、異なる動きを示した。
ストライカーは新しい事業区分に合わせ、比較対象期間の事業別データを組み替えた。ここではその数字を使った。前年の発表資料にある旧区分の合計値は、対象となる製品のまとまりが異なる。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記1~2、「連結売上高」、6~7、13~14ページ。
ただし、成長の勢いは鈍っている。為替変動と買収・売却の影響を除いた全社の既存事業売上高の伸び率は、2025年第3四半期の9.5%から、2026年第3四半期には7.7%となった。2026年の最初の9カ月では、開示上の売上高は6.6%増の191億2,900万ドル、既存事業の伸び率は6.4%だった。製品群全体はなお拡大している。四半期の売上増加額の大半を機器事業が生み出し、主な人工関節製品の寄与は小さかった。
出典:ストライカーの2025年10月30日付決算発表、「売上高の分析」;2026年第3四半期のフォーム10-Q、12~14ページ。
2. 血管事業の評価損は、事業見通しの悪化を反映
2億9,300万ドルの費用は直ちに現金を支払うことなく会計上の利益を減らしたが、その背景にある将来の資金収支見通しの引き下げは重要だ。ストライカーによると、当面の事業運営と供給上の制約に加え、想定していた成長と市場回復までの期間が長くなったため、末梢血管事業の推定価値が下がった。
これはストライカーの買収戦略を測る重要な材料だ。2025年2月、同社はイナリを、取得した現金を差し引いて48億1,000万ドルで買収した。イナリは静脈の血栓を除去する製品を持つ。経営陣が示した目的は、市場での存在感を高め、製品を増やし、技術開発を進めることだった。
ストライカーは2026年5月にアンプリチュード・バスキュラー・システムズ(AVS)も買収した。AVSは、血管内で圧力波を使い、複雑な末梢動脈疾患を治療する技術を開発している。買収完了時には、取得した現金を差し引いて4億3,400万ドルを支払った。さらに、開発などの節目の達成に応じて、将来最大4億ドルを支払う可能性がある。その条件付き支払いに割り当てた会計上の価値は2億7,100万ドルで、取得した現金を差し引いた当初の帳簿上の買収価格は7億500万ドルとなった。
この違いは、将来の現金支出を考えるうえで重要だ。2億7,100万ドルは将来支払う義務の見積額で、4億ドルは開示された節目払いの上限額である。どちらも全額を買収完了時に支払ったわけではない。4億200万ドルとして記録した取得済みの開発案件は、まだ規制当局の承認を得ていない。AVSは将来の製品機会をもたらす一方、開発と承認取得が残っている。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記5、7、8~10ページ。
評価損の対象は、イナリとAVSの両方を含む末梢血管事業だ。のれんは、買収価格から、個別に特定した取得資産と引き受けた負債の価値を差し引いた部分を指す。主に、将来の成長や事業を組み合わせることで得られる利益への期待を反映する。その価値を引き下げたのは、期待される利益では以前の帳簿価額を支えられなくなったという意味だ。
買収で得た資産は、貸借対照表全体でも大きい。のれんとその他の無形資産は、ストライカーの9月の資産のうち52.6%を占めた。費用計上後も、末梢血管事業には約32億5,900万ドルののれんが残った。ストライカーによる前提を変えた試算は、計画どおりの利益を上げることの重要性を示す。長期の営業利益率、つまり売上高のうち営業利益として残る割合の想定を1パーセントポイント下げると、さらに4億9,700万ドルの評価損が生じる。これは会計上の試算であり、業績予想でも追加の現金支出でもない。残る価値が、計画した収益性の達成に大きく左右されることを示している。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記11、「重要な会計方針と見積もり」、3、11、20ページ。
競争も事業回復を難しくしている。ペナンブラの第3四半期の血栓除去製品の世界売上高は、18.1%増の2億7,920万ドルとなった。米国で静脈血栓を治療する製品の売上高も26.0%増えた。ストライカーの、より幅広い血管製品群の売上高は5億2,500万ドルから5億6,600万ドルに増えたが、他の製品や地域も含む。これらの数字から市場シェアの変化を正確に割り出すことはできない。ただ、ストライカーが自社の末梢血管事業の見通しを引き下げるなか、直接の競合には大きな成長があったことを示す。
競合製品の開発も進んでいる。ペナンブラは10月20日、深部静脈の血栓を治療するため、コンピューターが血栓除去を支援する「Lightning」技術について米国での承認を得たと発表した。ストライカーの事業回復には、自社の供給と事業運営の問題を解決しながら、病院が同社の製品を選ぶ理由を示し続ける必要がある。
出典:ペナンブラの2026年10月29日付決算発表、四半期の主な動きと製品別売上高表;ペナンブラの10月20日付承認発表;ストライカーのフォーム10-Q、注記2。
3. 本業の改善が進む一方、四半期の開示上の利益は減少
一部の費用を除くと利益は増えたが、それらの費用を含む四半期の開示上の利益は減った。ストライカーは、特定の項目を除いた業績を「調整後」と呼ぶ。今四半期は、血管事業の評価損を税務上の費用として差し引けなかったため、この区別が特に重要だ。
営業利益は、製造、販売、研究など事業運営にかかる費用を差し引き、利息と税金を差し引く前に残る利益だ。営業利益率は、売上高のうち営業利益として残った割合を示す。
| 連結の開示業績(利益率と一株当たり金額を除き百万米ドル) | 2025年第3四半期 | 2026年第3四半期 | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,057 | 6,520 | 17,945 | 19,129 |
| 売上総利益 | 3,852 | 4,248 | 11,437 | 12,556 |
| 営業利益 | 1,135 | 1,034 | 3,085 | 3,629 |
| 営業利益率 | 18.7% | 15.9% | 17.2% | 19.0% |
| 純利益 | 859 | 753 | 2,397 | 2,774 |
| 希薄化後一株利益(米ドル) | 2.22 | 1.96 | 6.20 | 7.19 |
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、連結損益計算書と経営陣による説明、2、14~15ページ。利益率は会社が開示した端数処理後の割合である。
売上総利益は、売上高から製品の製造と納入にかかった費用を差し引いたものだ。今四半期は増えた。しかし、主に事業再編費用やその他の特別費用が増えたため、販売費と一般管理費は売上高より速く増加した。評価損も大幅に増えた。これらの費用が売上総利益の増加分を上回り、営業利益は8.9%減った。
開示上の売上総利益率が改善した理由には、別の説明が必要だ。63.6%から65.2%への上昇のうち、経営陣は1パーセントポイントを、買収に伴って計上した在庫費用がなくなったためだと説明した。会社が他社を買収すると、会計上、取得した在庫の帳簿価額が引き上げられることがある。その上乗せ分は、在庫を販売する際に費用となる。その費用の計上が終われば、工場の効率が新たに改善しなくても、前年との比較で利益率は上がりやすくなる。
四半期の売上総利益率は販売数量と製品構成に支えられた一方、製造費と供給にかかる費用がわずかに押し下げた。最初の9カ月では、2025年の関税について1億5,800万ドルを戻し入れたことも、開示上の営業利益を押し上げた。税引き後の利益への効果は1億3,300万ドルだった。ストライカーは調整後の業績からこの効果を除いている。したがって、開示上の利益率の上昇すべてを、製造と販売の採算が繰り返し改善する証拠とは扱えない。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、売上総利益率の説明と調整後業績の算定表、14、16~19ページ。
事業別の結果を見ると、どこで本業が改善したかが分かる。メドサージ・神経技術事業の四半期営業利益率は26.1%から28.7%に上がった。販売数量が増え、売上高に対する販売費と製造費の割合が下がったためだ。一方、整形外科事業は32.4%から31.2%に下がった。販売費と製造費が売上高に占める割合が増えたためだ。これらの事業別利益率には、本社費用や血管事業の評価損など一部の費用は含まれない。
経営陣は、売上総利益率が低いメドサージ・神経技術事業が、整形外科事業より速く成長すると見込む。この製品構成の変化は、製造費を差し引いた後に売上高から残る割合を抑える可能性がある。そのため、全社の利益を伸ばすには、販売費と一般管理費の伸びを売上高より抑えることが一段と重要になる。
ストライカーの連結の調整後営業利益率は25.6%から26.2%に上がり、調整後の四半期純利益は12億3,300万ドルから13億5,700万ドルに増えた。計算上の注記にある調整表は、これらの数字と開示上の利益との関係を示す。この改善は本業が引き続き前進していることを裏づける一方、事業の買収、統合、再編にはなお費用がかかる。償却とは、買収した技術などの帳簿上の費用を、利用が見込まれる期間に分けて計上することだ。この費用は今四半期に1億7,500万ドルで、ストライカーは2027年に6億8,200万ドルを見込んでいる。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記7、10、経営陣による説明、10~11、15~19ページ。
税金により、四半期の開示上の利益の減少幅はさらに大きくなった。支払利息の減少と、主に知的財産のライセンスによるその他の収益の増加に支えられ、税引き前利益は10億2,900万ドルから9億9,700万ドルへの小幅な減少にとどまった。それでも税金費用は1億7,000万ドルから2億4,400万ドルに増えた。のれんの費用を税務上差し引けなかったことが、実効税率が16.5%から24.5%に上がった理由として開示されている。
最初の9カ月を通算すると、違う姿が見える。純利益は15.7%増えたが、調整後純利益の増加率は6.9%だった。買収関連費用の減少と関税費用の戻し入れが、会計上の純利益の比較を押し上げた。年初からの改善は実際に起きている。ただし、会計上の増益率には事業の成長に加え、通常とは異なる費用や利益の変化も含まれる。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記9、15~19ページ。調整後純利益の増加率は37億8,500万ドルと35億4,100万ドルから計算した。
4. 現金を生み出す力は改善したが、在庫と支払いには引き続き資金を使った
ストライカーは、設備への支出と株主への現金還元を賄えるだけの営業活動による現金を生み出した。最初の9カ月の営業キャッシュフローは13.9%増えた。四半期の会計上の利益が減るなかでも、支出に充てる資金を確保できた。
| 連結キャッシュフロー(百万米ドル) | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|
| 営業活動による現金 | 2,901 | 3,303 |
| 有形固定資産の購入 | 493 | 605 |
| フリーキャッシュフロー(計算値) | 2,408 | 2,698 |
| 配当と自社株買いの支払額 | 963 | 2,012 |
| 支払い後の残額 | 1,445 | 686 |
計算上の注記:ここでいうフリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローから有形固定資産の購入に使った現金を差し引いた額を指す。設備投資額は、現金の使い道として正の値で示した。この指標では買収費用を差し引いていない。最終行は、フリーキャッシュフローから支払済みの配当と自社株買いの額を差し引いたものだ。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、連結キャッシュフロー計算書、5ページ。
現金の増減は、純利益との比較だけでは説明できない。ストライカーは、減価償却費、のれんの減損、株式報酬など、その時点で現金の支払いを伴わない費用を純利益に足し戻した。一方で、在庫の積み増しや、以前に費用として計上した項目の支払いに現金を使った。詳しい照合は後の注記に示す。
顧客からの代金回収によって3億2,000万ドルの現金が入った。ただし、2025年の最初の9カ月に入った5億2,400万ドルは下回った。在庫には4億6,800万ドルを使い、前年の3億7,300万ドルを上回った。仕入先などへの支払いによって、営業上の未払額も減った。流動負債は年末の77億9,400万ドルから65億ドルに減り、税金、従業員への報酬、仕入先への未払額がそれぞれ減少した。つまりストライカーは、以前の売掛金を一部回収する一方、製品を多く保有し、自社の支払いを済ませるために現金を使った。
貸借対照表もこの動きを裏付ける。貸倒引当金などを差し引いた売掛債権は、年末の40億3,900万ドルから36億9,300万ドルに減った。在庫は53億1,000万ドルから57億4,700万ドルに増え、増加額4億3,700万ドルのうち3億4,000万ドルを完成品が占めた。販売を待つ製品に、以前より多くの資金が使われている。開示資料は、この増加分を計画的な供給の積み増しと売れ行きの鈍い在庫に分けていない。そのため、増えた在庫がすべて速やかに売上高へ変わるとは確認できない。
ストライカーは、サービスを終える前に顧客から代金を受け取ることもある。その前受金残高は10億2,400万ドルから9億6,000万ドルに減った。以前に前受けした代金のうち6億1,500万ドルを売上高として計上し、新たに受け取った前受金の純額は5億5,100万ドルだった。この期間、前払いのサービス契約による顧客からの資金は、残高として増えていない。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、注記2、3、5、7ページ。貸借対照表の残高変動には、キャッシュフロー計算書に示された営業活動の増減以外の影響も含まれる。
投資も続いた。有形固定資産の購入に使った現金は6億500万ドルに増え、その帳簿上の純額は40億5,400万ドルに増えた。開示資料は事業部門ごとの支出を示すが、既存設備の更新と生産能力の拡大には分けていない。研究・開発・設計の費用も12億8,000万ドルに上った。これらの費用は新製品や既存製品、規制対応を支えるもので、購入したAVSの開発資産とは別だ。
営業活動で得た現金から、設備投資、支払済みの配当と自社株買い、買収に伴う純支払額4億8,100万ドルを差し引くと、2億500万ドルが残った。すべての借入金返済とその他の現金支出を賄うには足りなかった。そのため、現金を生み出す力は強まったものの、現金残高は減った。借入金返済などに手元資金を充てたためだ。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、3、5、11、19ページ;2025年のForm 10-K、注記1、研究開発費の会計方針、32ページ。
5. 当面の資金は確保しているが、借入金返済で手元資金の多くを使った
ストライカーは、開示済みの直近の借入金返済を現在の手元資金で賄える。ただし、裁量で決められる大きな支出を増やせば、その余裕は小さくなる。現金と市場性有価証券は9月30時点で計32億7,100万ドルだった。これに対し、7億5,400万ドルの借入金が今後一年以内に返済期限を迎える。さらに26億6,400万ドルの借入可能枠があった。
同社は3月に10億ドルの社債を返済し、9月末のコマーシャルペーパー残高は2億5,000万ドルだった。コマーシャルペーパーは短期の借入手段だ。資金調達に伴う借入金総額は158億5,900万ドルから149億3,000万ドルに減った。一方、現金と市場性有価証券も41億ドルから32億7,100万ドルに減少した。借入金からこれらの流動資産を差し引いた額は、1億ドル減って116億5,900万ドルとなったにとどまる。この計算値には、事業用のリースやその他の事業上の支払義務を含めていない。
借入金の減少とともに、手元資金もかなり減った。また、残る流動資産の44%は米国外で保有されていた。年末時点では20%だった。現金をどこで保有するかは、ストライカーの資金調達の組み立て方に影響する。ただし、開示された国外の残高すべてに使用制限があるとは示されていない。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記8と「流動性」、10ページおよび19~20ページ。
社債の借り換え額が大きい年は、この先にある。2027年に満期を迎える社債の帳簿価額は計13億4,900万ドルで、2028年分は計25億7,300万ドルだ。以下の返済予定表に、その後の年も示す。これらは帳簿上の残高であり、為替換算や借入金の会計処理による調整のため、実際に返す元本とは異なる場合がある。
ストライカーの30億ドルの融資枠契約は、2月2030まで続く。この契約には、契約に基づいて計算した利益に対して借入額を一定範囲に抑える、貸し手との財務制限条項がある。通常の上限は利益の3.75倍で、条件に合う買収では一時的に上限を引き上げられる。ストライカーは9月30時点で条項を守っていると報告した。ただし、計算上の比率は開示していないため、上限まで具体的にどれだけ余裕があるかは分からない。
利息も継続的な資金負担だ。最初の9カ月には、必要な手数料を含め、借入金と融資枠に関する費用4億1,500万ドルを計上した。損益計算書に示された、より広い範囲の支払利息は4億3,200万ドルだった。12月2025時点の契約上の支払予定では、その後の借入や為替変動を反映する前の利息支払額は、2026年分が5億3,600万ドル、2027~2028年分が9億5,700万ドルだった。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記8;2025年のForm 10-K、契約上の支払義務、23ページと注記10;2025年2月25日付の融資契約、定義と第7.05条。
事業上の支払義務にも資金を見込む必要がある。リース負債は5億300万ドルで、このうち一年以内に支払う分は1億6,000万ドルだった。最初の9カ月の事業用リース費用は1億6,100万ドルだった。資金調達制度を利用した仕入先の請求額8,800万ドルは買掛金に含まれており、資金調達に伴う借入金に重ねて加えていない。買収に伴う条件付きの支払額は、5億1,800万ドルから7億900万ドルに増えた。主な理由は、決済や見積もりの変更を反映する前にAVS関連で2億7,100万ドルが加わったことだ。
新たに増えた裁量的な現金支出で最も大きかったのは自社株買いだ。ストライカーは第3四半期に10億ドルを支払い、約3百万株を買い戻した。最初の9カ月には従業員向け制度を通じて約1.2百万株を発行したため、発行済み株式数は382.5百万株から380.7百万株に減った。四半期の希薄化後加重平均株式数も386.7百万株から384.7百万株に減少した。従業員向け株式報酬による希薄化の影響が小さくなったことも一因だ。希薄化後の株式数が減ったことで一株当たり利益の落ち込みはわずかに和らいだが、減少自体は止められなかった。
利益は引き続き会社の財務基盤を厚くした。自社株買いと配当の宣言があったにもかかわらず、純資産は10億3,700万ドル増えた。従業員向け株式報酬と為替に伴う変動も純資産を押し上げた。詳しい増減の内訳は以下に示す。
経営陣は資金配分の優先順位を、買収、配当、自社株買いの順としている。自社株買いでは株主に現金を還元し、株式数を減らした。10月には取締役会が買い戻し枠に30億ドルを追加し、残る承認枠は30億3,300万ドルとなった。承認枠は将来の支出を認めるもので、支払済みの額でも、実施時期を定めた予定でもない。実際にどの速さで買い戻すかによって、買収や借入金返済に使える資金の余裕が変わる。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、損益、純資産、キャッシュフローの各計算書;注記5~6と12;「ストライカーについて」;第II部、項目2、2、4~5、8~12、21ページ。
6. 経営陣が当面の見通しを引き下げるなか、CMRは手術ロボット事業の機会を広げる
計画中のCMRへの投資は、ストライカーが扱える製品の可能性を広げる。一方、既存事業の売上高見通しは引き下げられた。それぞれ成果が出るまでの期間は異なる。同社は現在の製品を安定して供給しながら、新たな成長源を育てる必要がある。
10月29、経営陣は7月に示した通年の見通しの範囲を引き下げた。最高経営責任者のケビン・ロボ氏は、当四半期の業績が会社の予想に届かなかったと述べた。
| 経営陣の2026年通年見通し | 7月30時点 | 10月29時点 |
|---|---|---|
| 既存事業の売上高増加率 | 8.3%–9.3% | 6.5%–7.0% |
| 調整後の希薄化後一株当たり利益(米ドル) | 14.95–15.10 | 14.80–14.90 |
出典:2026年7月30日付の決算発表、「2026年の見通し」;2026年10月29日付の決算発表、冒頭の説明と「2026年の見通し」。これらは経営陣の予想であり、確定した業績ではない。除外する複数の項目を確実に予測できないため、ストライカーはこの予想と米国会計基準に基づく利益との差を示していない。
3月に起きたサイバー事案も、事業の状況を理解するうえで関係する。ストライカーは4月のForm 9で、製造、受注、流通、営業の各システムが復旧したと述べた。それでも第3四半期の提出書類は、最初の9カ月に製造費用と供給費用がかさんだ主な原因を、第1四半期の事案で生産が止まったことに求めている。システムの復旧と、財務面への影響がすべて解消することは別の段階だ。開示資料は、直近の見通し引き下げのうち、この事案による影響額を示していない。
出典:ストライカーの2026年4月9日付Form 8-K/A、項目1.05;第3四半期のForm 10-Q、売上総利益率に関する説明、14ページ。
10月のCMRとの契約は、より長期の事業機会に向けたものだ。ストライカーは、交渉で定めた権利を伴う持分投資として、優先株に約4億ドルを投じる計画だ。また、Versius製品群の米国内での独占販売権と、残りの持分を後で取得できる独占的な選択権を得る。第4四半期に予定する取引完了には、規制当局の承認と通常の条件を満たす必要がある。これは完了済みの買収ではなく、9月に現金が流出したわけでもない。
経営陣は、臓器などの柔らかい組織を手術するロボットを、自社の手術用カメラ、画像技術、関連技術を広げるものと捉えている。事業上の狙いは分かりやすい。ストライカーはすでに手術室向けに製品を販売しており、その顧客に別の手術システムを紹介できる。CMRは引き続き製品群を開発し、米国外での販売を担う。この仕組みにより、ストライカーはCMR全体の買収を決める前に、その市場へ参入する道を得る。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記12;ストライカーとCMRによる2026年10月12日付の発表。
先に米国で承認された用途は胆のうの摘出だった。挙げられた資料からは、2026年10月23日に承認対象が、22歳以上の対象となる成人に対する、がんではない婦人科疾患を治療する特定の手術へ広がったことは確認できない。また、それらの手術でMonopolar Curved Scissorsの使用が制限されたことも確認できない。承認は製品表示に記載できる用途を定める。一方、21 U.S.C. § 396は、正当な医療者と患者の関係のもとで、合法的に販売される機器をほかの症状にも処方または使用する医療者の権限を認めている。
出典:FDAによる2025年12月16日付のVersius Plus承認文書、使用目的、4ページ;10月の対象拡大の根拠として挙げられたCMRのリンク。このURLはCMRのホームページに転送される。12月2025のFDA文書が扱うのは胆のう摘出術であり、主張されている10月の対象拡大は裏付けられない。
この事業機会には、すでに大きな競合もいる。インテュイティブ・サージカルによると、9月30時点で設置済みのダビンチのシステムは12,094台で、第3四半期にダビンチを使った手術件数は約14%増えた。手術ロボットの利用が広がっていることを示す一方、ストライカーとCMRが競う相手の機器がすでに広く設置されていることも示している。両社の事業成果は、病院がこのシステムを導入して継続的に使い、安定したサービスを受け、運用費用を負担できるかにかかる。確認した発表には、ストライカーの売上高や利益への寄与に関する予想はない。
出典:インテュイティブ・サージカルの2026年10月20日付決算発表、「Q3の主な動き」;ストライカーとCMRの契約発表。
7. 税務上の争いと製品に関する責任で、事業計画以外にも資金が必要になる可能性
ストライカーには資金の余力があるが、開示された税務上の問題と製品に関する責任も、資金の重要な使い道となり得る。一部は過去の判断や製品に関係するため、現在の売上が伸びても解消しない。
2025年12月31日時点で、ストライカーは2010年から2017年に関するドイツでの課税査定額7億5,400万ドルを開示し、さらに1,100万ドルの査定を見込んでいた。同社はこれらに異議を申し立て、ドイツで追加の税金を支払うことになれば、外国税額控除を求める方針だった。別に、税務上の扱いが確定していない項目について、世界全体で4億300万ドルの引当額を計上していた。査定額、引当額、適用される可能性がある税額控除は、それぞれ示すものが異なる。どれも最終的な差引支払額を確定するものではない。第3四半期の税務注記には、ドイツの件が新たに解決したとの記載はない。決着時の金額と時期は、使える資金を考えるうえで引き続き重要だ。
出典:2025年のフォーム10-K、注記11「不確実な法人税の扱い」、43ページ;2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記9。
製品に関する責任も続いている。年次報告書には、特定の人工股関節のリコールと過去から続く請求について、2025年12月31日時点で1億4,400万ドルの引当額が計上されていた。ここでは、その後の合計額は示されていない。2026年の最初の9カ月間に、ストライカーはリコール関連費用800万ドルと、規制・訴訟関連費用3,800万ドルを計上した。同社はこれらの項目を調整後営業利益から除外している。こうした費用は、和解のために実際に支払った現金や、今後負担し得る総額と同じではない。
ストライカーは、製品の賠償責任に伴う最終的な費用が見積額と大きく異なる可能性があると注意を促している。確認した注記には、資金計画に加えられるだけの根拠がある追加損失の金額範囲は示されていない。したがって、開示済みの負債、投資、株主への分配計画を進める際にも、和解に備えて資金の使い方に余地を残す必要がある。
出典:2025年のフォーム10-K、注記7、38~39ページ;2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記6および非GAAP指標の調整表の注記、9ページと18~19ページ。
8. ストライカーには事業を広げる資金力があるが、買収による成長を業績につなげる必要がある
ストライカーは成長を続け、現金も生み出している。一方、血管関連事業の拡大は大きなつまずきに直面した。人工関節の売上の伸びが鈍いなか、機器の販売増と医療・外科部門の収益性改善が事業を支えた。事業で生み出した現金は大規模な投資と株主への支払いに充てられたが、債務の返済にも現金を使った結果、換金しやすい資産を差し引いた債務は小幅な減少にとどまった。
次の段階は、2つの分野で計画を実行できるかにかかっている。血管関連製品の供給、納品、収益性が改善すれば、買収で得た事業の残る価値を支えられる。病院でVersiusの導入が進めば、新たな販売契約を事業の拡大につなげられる。血管関連事業の不振が続く、人工関節の売上にさらに圧力がかかる、あるいは改善前に多額の自社株買いを行う場合は、事業拡大と債務返済の双方に充てられる資金の余地が狭まる。
ストライカーには戦略を進める財務力がある。業績見通しの引き下げと血管関連事業の資産価値の引き下げを受け、今は保有する技術を使って製品を届け、販売し、利益を生むことが焦点となっている。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、注記7~12および経営陣による説明;10月29日の業績見通し;10月12日のCMRとの契約。
報告の基準:ストライカーと連結子会社。米国会計基準に基づく2026年9月30日時点の未監査フォーム10-Qで、提出日は2026年10月30日。提出書類番号は0000310764-26-000061、CIKは0000310764。四半期の損益は7月1日から9月30日まで、累計の損益とキャッシュフローは1月1日から9月30日までを対象とする。貸借対照表の比較には2025年12月31日を用いる。報告通貨は米ドル。以下の表は、別の単位を示す場合を除き、百万米ドル単位。
出典:SECへの提出履歴と提出されたフォーム10-Qの表紙および注記1。主な数値は、SECの企業データとも照合した。その際、この提出書類番号、米ドル単位、実際の四半期、9カ月間、または貸借対照表の日付を用いた。連結数値は、会計期間の表示だけで判断せず、財務諸表とも照合した。
計算上の注記:調整後利益では費用と利益の双方を除く
次の表は報告上の純利益から始め、会社が示す調整額を税金への影響を反映したうえで加える。マイナスの符号は、報告上の利益に含まれる利益を取り除くことを示す。項目をそのまま示すことで、資産価値の引き下げを毎期発生する現金費用と取り違えたり、除外した利益を通常の事業成長と見なしたりせずに済む。
| 純利益の調整表、百万米ドル | 第3四半期 2025年 | 第3四半期 2026年 | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|---|---|
| 報告上の純利益 | 859 | 753 | 2,397 | 2,774 |
| 買収した棚卸資産の評価調整 | +46 | 0 | +121 | 0 |
| その他の買収・統合費用 | +33 | +14 | +270 | +51 |
| 買収した無形資産の償却 | +150 | +142 | +431 | +434 |
| 事業再編・その他特別項目の純額 | +28 | +76 | +59 | +227 |
| のれん・その他の減損 | +58 | +293 | +117 | +294 |
| 医療機器規制への対応費用 | +8 | +5 | +23 | +13 |
| リコール関連 | +1 | −2 | +47 | +7 |
| 規制・訴訟関連 | 0 | +26 | +5 | +31 |
| 個別の税務項目 | +50 | +50 | +71 | +87 |
| 2025年の関税費用の戻入れを除外 | 0 | 0 | 0 | −133 |
| 調整後純利益、非GAAP | 1,233 | 1,357 | 3,541 | 3,785 |
次の表は、営業利益に対する調整、営業利益以外に含まれる利益、税金がどうつながるかを合計額で確認する。「追加の税金費用」は、報告上の利益から調整後利益に移る際の税金費用の差引増加額であり、実際に支払った税金ではない。
| 調整額の確認、百万米ドル | 第3四半期 2025年 | 第3四半期 2026年 | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|---|---|
| 報告上の営業利益 | 1,135 | 1,034 | 3,085 | 3,629 |
| 営業利益の調整額、純額 | +415 | +672 | +1,354 | +1,155 |
| 調整後営業利益、非GAAP | 1,550 | 1,706 | 4,439 | 4,784 |
| その他の収益から除外した利益 | −10 | −54 | −19 | −71 |
| 税引前利益の調整額合計 | +405 | +618 | +1,335 | +1,084 |
| 追加の税金費用 | 31 | 14 | 191 | 73 |
| 報告上の純利益から調整後純利益への増加額合計 | 374 | 604 | 1,144 | 1,011 |
例えば、2026年の四半期の事業再編・特別項目では、営業費用1億5,300万ドルを足し戻し、その他の収益5,400万ドルを除外し、税金費用2,300万ドルを加えた。したがって、純利益の調整額は1億5,300万ドル − 5,400万ドル − 2,300万ドル = 7,600万ドルとなる。これにより、費用を全額足し戻しながら、関連する除外対象の収益だけを調整後利益に残すことを避けられる。個々の調整にかかる税金は、それぞれの国・地域の扱いに従う。一律の税率を仮定していない。
出典:2026年第3四半期のフォーム10-Q、GAAPと非GAAPの完全な調整表および説明注記、16~19ページ。
計算上の注記:利益から現金の動きをたどる
| 営業活動による現金の計算、単位:百万米ドル | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|
| 純利益 | 2,397 | 2,774 |
| 減価償却費 | +334 | +361 |
| 無形資産の償却費 | +543 | +530 |
| 減損損失 | +163 | +294 |
| 株式報酬費用 | +195 | +208 |
| 取得した棚卸資産の会計上の費用 | +160 | 0 |
| 繰延税金費用 | +191 | +166 |
| 売掛金などの増減 | +524 | +320 |
| 棚卸資産の増減 | −373 | −468 |
| 仕入先への買掛金の増減 | −205 | −154 |
| 未払費用などの負債の増減 | −78 | −279 |
| 法人税関連の増減 | −577 | −395 |
| その他の営業活動による増減、純額 | −373 | −54 |
| 営業活動による現金収入 | 2,901 | 3,303 |
キャッシュフロー計算書にある1億6,600万ドルの繰延税金に関する調整は、現金支出を伴わない費用を差し戻したものだ。現金収支に追加できる節税額ではない。別に示された3億9,500万ドルの税金関連の支出は、営業活動に関わる勘定の増減によるもので、支払った税金の総額を示すものではない。
次の表では、期首と期末の現金残高のつながりを確認する。「財務活動」には借り入れ、借入金の返済、配当、株式取引が含まれる。「投資活動」には買収、土地・建物・設備への支出、有価証券の取引が含まれる。
| 現金残高の計算、単位:百万米ドル | 2025年の最初の9カ月 | 2026年の最初の9カ月 |
|---|---|---|
| 期首の現金・現金同等物 | 3,652 | 4,011 |
| 営業活動による現金収支 | +2,901 | +3,303 |
| 投資活動による現金収支 | −4,561 | −1,011 |
| 財務活動による現金収支 | +1,206 | −2,998 |
| 為替レートの影響 | +58 | −34 |
| 期末の現金・現金同等物 | 3,256 | 3,271 |
この計算では、使途が制限された現金の残高は別に示されていない。2026年の投資活動では、買収に4億8,100万ドル、土地・建物・設備に6億500万ドルを支出した。有価証券の売却による純収入8,900万ドルがこれらの支出の一部を補い、その他の投資活動では1,400万ドルを支出した。
財務活動には、差し引き7億5,300万ドルの借入金返済が含まれる。10億ドルを返済し、短期借入金が純額で2億4,700万ドル増えた。配当と自社株買いのほか、ストライカーは従業員から源泉徴収のために留保した株式に関連する税金1億5,600万ドルを支払い、その他の財務活動に7,700万ドルを使った。これらの金額は、表の財務活動による現金支出と一致する。
ストライカーは、顧客との設備リース契約の一部を金融機関に売却し、現金を早めに回収している。顧客が支払わなくても、買い手の損失をストライカーが補填する義務はない。関連する現金収支は営業活動に含まれる。これらの契約に関連する売上高は、比較した両期間とも総売上高の4%未満だった。この売上高の開示は、現金収支の調整額を別途示すものではない。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、キャッシュフロー計算書および注記2、5、7ページ。
計算に関する注記:資産、負債、純資産の確認
| 連結財政状態、単位:百万米ドル | 2025年12月31日 | 2026年9月30日 |
|---|---|---|
| 現金と流動有価証券 | 4,100 | 3,271 |
| 売掛金などの純額 | 4,039 | 3,693 |
| 棚卸資産 | 5,310 | 5,747 |
| 有形固定資産、純額 | 3,876 | 4,054 |
| のれん | 19,291 | 19,326 |
| その他の無形資産、純額 | 5,681 | 5,542 |
| 資産合計 | 47,844 | 47,247 |
| 借入債務、短期・長期 | 15,859 | 14,930 |
| その他の負債、計算値 | 9,565 | 8,860 |
| 負債合計 | 25,424 | 23,790 |
| 株主資本 | 22,420 | 23,457 |
のれんとその他の無形資産を合わせると、9月時点の資産の52.6%を占める計算になる。AVSにより、のれんが3億9,800万ドル、開発資産が4億200万ドル増えた。一方、当四半期の減損と対象期間の償却により、取得した資産の価値は減った。四半期報告書には、無形資産の各区分について増減の全容を示す明細はない。資産の表では、残りの変動に根拠のない原因を当てはめず、報告された合計額をそのまま示している。
両時点とも、資産は負債と純資産の合計に等しい。9月:237億9,000万ドル + 234億5,700万ドル = 472億4,700万ドル。12月:254億2,400万ドル + 224億2,000万ドル = 478億4,400万ドル。
次の表では、資産から負債を差し引いて残る株主資本を確認する。各項目が変動した理由は、表のすぐ下で説明する。
| 株主資本の増減、単位:百万米ドル | 2025年12月31日 | 9カ月間の増減 | 2026年9月30日 |
|---|---|---|---|
| 普通株式の資本金 | 38 | 0 | 38 |
| 資本剰余金 | 2,597 | +167 | 2,764 |
| 利益剰余金 | 20,472 | +776 | 21,248 |
| その他の包括利益・損失の累計額 | −687 | +94 | −593 |
| 株主資本合計 | 22,420 | +1,037 | 23,457 |
資本剰余金には、株式取引から生じた金額を記録する。1億6,700万ドルの増加は、株式報酬の2億800万ドルから、従業員向け制度の取引による2,000万ドルと自社株買いに伴い差し引かれた2,100万ドルを引いたものだ。
利益剰余金は、所定の配当や株式取引の後に事業内に残した利益の累計額だ。7億7,600万ドルの増加は、純利益27億7,400万ドルから、宣言された配当10億1,100万ドルと自社株買いに伴い差し引かれた9億8,700万ドルを引いたものだ。自社株買いによって発行済み株式数とこれらの株主資本項目が減った。ここでは自己株式の残高や消却株数を別途推定していない。
その他の包括利益には、純利益に含まれない一定の変動を記録する。為替換算による純額1億5,300万ドルの増加は、ヘッジ損失5,900万ドルによって一部相殺され、9,400万ドルの増加となった。年金関連の変動は、税引き後と振り替え後でゼロだった。
自社株買いに伴い株主資本から差し引かれた額は10億800万ドルで、実際の現金支払額は10億ドルだった。宣言された配当は10億1,100万ドルで、実際の現金支払額は10億1,200万ドルだった。現金の使途の分析には、支払額を用いる。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、貸借対照表、株主資本計算書および注記3、5、7、11、3~4ページおよび7~11ページ。
計算に関する注記:借入債務の満期とリースの扱い
| 満期別の借入債務、2026年9月30日時点の帳簿価額、単位:百万米ドル | 金額 |
|---|---|
| 2027年満期の優先債 | 1,349 |
| 2028年満期の優先債 | 2,573 |
| 2029年満期の優先債 | 1,652 |
| 2030年満期の優先債 | 2,523 |
| 2031~2050年満期の優先債 | 6,568 |
| コマーシャルペーパー | 250 |
| その他の借入債務 | 15 |
| 借入債務合計 | 14,930 |
優先債の利率は0.750%から5.200%までの固定金利で、一部はユーロ建てだ。コマーシャルペーパーは、満期を最長397日とする仕組みだ。表では、開示された各債券を重複なく集計している。為替レートを固定した元本返済の予測ではない。オペレーティングリースの負債は、この借入債務の合計とは別に扱う。9月時点の残高は5億300万ドルで、残存期間の加重平均は4.5年だった。
信用契約で通常認められるレバレッジ比率の上限は、契約で定義された借入債務を、直近4四半期の契約で定義されたEBITDAで割った値の3.75倍だ。EBITDAは、利息、税金、減価償却費を差し引く前の利益に、所定の追加調整を加えた指標を指す。7億5,000万ドルを超える条件に合う買収では、契約上の選択条件を満たせば、上限を4四半期にわたり一時的に4.75倍とし、その後の各四半期に4.50倍、4.25倍、4.00倍とすることができる。本稿は、ストライカーがこの特例を選択したとは仮定していない。また、契約に基づく判定を、公表利益から単純に計算した比率で代用していない。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記6および8;2025年のForm 10-K、注記7;信用契約の定義および第7.05条。
計算上の注記:成長率、対象範囲、端数処理
取り上げた増収要因の寄与割合は、(1億2,500万ドル + 9,600万ドル + 1億300万ドル)÷(65億2,000万ドル − 60億5,700万ドル)で、約70%となる。フリーキャッシュフローの増加率は、(26億9,800万ドル ÷ 24億800万ドル − 1)で、12.0%となる。負債から現金と流動の市場性有価証券を差し引くと、149億3,000万ドル − 32億7,100万ドル = 116億5,900万ドルとなる。年末時点では、158億5,900万ドル − 41億ドル = 117億5,900万ドルだった。この手元資金をみる指標には、繰延報酬に関する債務に対応する3億3,900万ドルの売買目的有価証券を含めていない。これは貸借対照表上の流動の市場性有価証券とは異なる。
会社が公表した成長率と利益率は、端数処理前の数値に基づく。公表された百万単位の丸めた数値から計算すると、わずかに異なる場合がある。オーガニック成長率と調整後の業績は、会社が定義した、GAAP(米国会計基準)に基づかない指標だ。競合他社について示した根拠は、公表された売上高、手術件数、製品、設置済みのシステムに関するものだ。この分析では、各社の利益率や資産規模を同じものとして扱っていない。
出典:2026年第3四半期のForm 10-Q、注記2、5、8およびGAAPに基づかない指標の定義;2025年のForm 10-K、注記1。情報は、上記の発行日が明示された一次資料を用い、調査期限の10月31日までを対象に評価した。その日までのすべての動きを網羅的に確認したものではない。
この分析は情報提供と学習を目的とする。投資助言ではなく、証券の購入、売却、保有を勧めるものでもない。